チェストドレーンバッグの仕組みと管理【3チャンバー構造を理解する】

手技

はじめに

胸腔ドレナージは気胸・胸水・血胸などで日常的に行われる処置です。チェストドレーンバッグは3つのチャンバーで構成されており、それぞれの役割を理解しないと正しく観察・管理できません。

本記事では研修医・内科専攻医向けに、バッグの構造・原理・日常管理のポイントをまとめます。

胸腔ドレナージの適応

目的:胸腔内の空気・液体・血液を体外へ排出し、肺の再膨張と呼吸機能の回復を図る

病態状態ドレナージの目的
気胸肺と胸壁の間に空気が貯留空気を排出し肺を再膨張
胸水・血胸胸腔内に液体・血液が異常貯留液体を排出し呼吸を改善

バッグの全体構造

チェストドレーンバッグは患者側から順に3つのチャンバーで構成されています。

患者 → 第1チャンバー(排液)→ 第2チャンバー(水封)→ 第3チャンバー(吸引圧制御)→ 壁吸引

陰圧は壁吸引側から患者側へ伝わり、空気・液体は患者側から排出方向へ流れます。

第1チャンバー:排液ボトル

役割

  • 胸腔から排出された液体・血液を収集する
  • 目盛りで排液量を正確に測定できる

観察ポイント

  • 排液量をmL/時間で定期的に記録する
  • 色調に注目:漿液性(淡黄色)なのか?・血性なのか?・混濁(膿性)しているのか?
  • 急激な排液量増加は再出血の可能性あり

第2チャンバー:水封ボトル

原理

管の先端を水中に沈め、一方向弁として機能させます。

胸腔内の空気は排出できますが、外気は逆流しません。

観察ポイント

水封チャンバーで観察すべきポイントを示します。

所見意味
呼吸性変動あり(吸気↑呼気↓)ドレーンが胸腔内と交通している(正常)
持続的な泡立ち(エアリーク)空気漏れが続いている
変動消失肺の再膨張 または ドレーン閉塞

呼吸性変動について

水封の水面が呼吸に合わせて上下する現象のことを「呼吸性変動」といいます。
ドレーンが胸腔内と正しく交通しているサインです。

また、呼吸性変動は自発呼吸と人工呼吸で向きが変わるのがポイントです。

  • 自発呼吸:吸気で陰圧が強まり水面が上昇、呼気で下降
  • 陽圧換気(人工呼吸器):吸気で下降、呼気で上昇(逆になる

正常な変動の目安:静かな呼吸で2〜4cm程度

呼吸性変動が消失したとき

呼吸性変動が消失したときの原因として、以下の原因をまず探すとよいでしょう。

考えられる原因対応
ドレーンの閉塞・屈曲・抜けかけ・先端位置異常ミルキング・体位調整を試みる。
肺が完全に再膨張した(治癒的消失)胸部X線で確認→抜去検討のサイン

第3チャンバー:吸引圧制御ボトル

水柱の高さで吸引圧の上限を制御します。
大気開放管が水中にあるため、過剰な吸引圧を防止します。

水柱の高さ = 最大吸引圧

となることがポイントです。例えば、

例:水位20cm = 最大吸引圧 −20cmH₂O

となります。

壁吸引から強い陰圧をかけても、大気開放管から空気が引き込まれるため、胸腔には設定値以上の陰圧はかかりません。

  • 持続的なボコボコ音は正常(大気を取り込んでいる)
  • 壁吸引圧は指示値より高めに設定する
  • 蒸発による水位低下に注意し、補水が必要

日常管理のチェックポイント

日々の回診では、以下の4つを意識してチェストドーレンバッグを観察してみてください。

① 排液量・性状の確認

  • 排液量をmL/時間で記録する
  • 色調変化(漿液性・血性・膿性)に注意
  • 急激な増加は再出血や合併症を疑う

② 水封室の観察

  • 呼吸性変動の有無を確認する
  • エアリーク(泡立ち)の程度を評価
  • 変動消失時は再膨張 or 閉塞を鑑別

③ 接続・固定の確認

  • 各接続部の緩み・外れがないか確認
  • ドレーンの屈曲・閉塞がないか確認
  • バッグは挿入部より低い位置に設置(逆流防止)

④ 患者の観察

  • 呼吸数・SpO₂・呼吸音の変化
  • 挿入部の発赤・腫脹・皮下気腫の有無
  • 疼痛の評価とバイタルサインの変化

まとめ

チェストドレーンバッグの3チャンバー構造を理解することで、異常の早期発見と適切な対応が可能になります。

特に水封室の呼吸性変動とエアリークの観察は毎回確認すべき重要なポイントです。

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